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⑧下宿さがし その2(決定)

②(実際に,シンチョンの下宿街に足を運び,とにかく見て回る)のほうは,友人2人に協力してもらい,下宿街を回ってみた.まず,昼に友人Sと会い,ごはんを食べてからスタート.シンチョンの小学校裏にある,「下宿」という看板がある家をかたっぱしから訪問.

新学期が始まってまもなく(韓国の大学は3月からなのだ),という時期でもあり,空きのない下宿も多い.ひとつの下宿に行くと,ほかの下宿からもおばちゃんがわらわら出てくる.「なに,下宿探してんの?」「うちは一杯だからさ,あんたんとこ空いてない?」「あ~うちはダメだけど,○○さんちは空いてるってさ」「じゃあ,連れて行こうかね」

…こんな具合で,まさにイモづる式に下宿を紹介してもらうことに.どうやら,下宿のおばちゃんネットワークがあるらしい.下宿生を日頃から融通しあって,持ちつ持たれつといったという感じをうけた.このおばちゃんネットワークのおかげで,さまざまなタイプの部屋を見ることができた.

たとえば,下宿のおばちゃんちの部屋の真向かいという,これは大変そう…という部屋もあれば,中には,トイレを通り抜けないと,自室に辿り着けないという,不可思議な部屋もあった.そこの下宿は,それ以外の部屋もどことなく「田舎っぽい」感じで,それはそれで面白い雰囲気だったが,派手な格好のいかにも韓国のおばちゃんが,「ここにしなさいよ,ほかも見ていいけど,戻ってくるのよ」と言ってたのが妙に印象に残った.

2時間ほど友人Sと回った後,今度は友人Oと会い,ソガンデに向かった.もしかしたら,いい下宿情報があるかもしれない,と思ったからである.ついにウ先生と再会.下宿情報を尋ねてみると,親切にも電話をしてくれる.その時に「ちょっと古くても問題ないでしょ?」と言ったのがなんとなく気にかかる.まさか,さっき見た「トイレを通り抜ける部屋」みたいなのじゃないだろうな…と思いつつ,KFCの前でおばちゃんと会うことにする.

ついでに,ウ先生にわたしが何級で勉強することになったのかを問い合わせると,PCで検索するものの,なかなかわたしの名前が出てこない.「ウ先生,万が一名簿に名前がなかったらどうするの?」と聞くと,「う~ん,そのまま日本に帰るんですよ(笑)」まんざら,ウソでもなさそうなのが恐い.しばらくして,ようやくわたしが5級で勉強することが判明.4級ぐらいかなと思っていたから,御の字!である.気分良く学校を後にする.

そして,おばちゃんとの待ち合わせ場所に急いで行くと,な・なんと! 悪い予感は当たるもので,あの「トイレを通り抜ける部屋」のおばちゃんがいるではないか.これでは,「あんた,うちによっぽど縁があるんだよ」と言われるのは目に見えている.しかし,トイレを通らなきゃ帰れない部屋はイヤだしなぁ.一計を案じて,友人Oにわたしの身代わりになってもらい,見学に行ってもらう.その間,わたしは現代百貨店で待機.戻ってきた友達によると,おばちゃんはしきりに「うちにしろ」と言っていたとのこと.同じ決め台詞だったな,と妙に納得.

結局,予算よりもだいぶ割高だったが,一番最初にみた下宿の屋上部屋に決定.決めた理由は,何といっても清潔感があって,個人の空間が確保できること.そして,掲示板に情報を書いてくれた人や,下宿のおばさんの感じがよかったこと.これが1年以上の滞在だったら,ある程度妥協して少しでも安いところにするところだが,3ヶ月という短期間だったため,多少高くても,快適さを優先させたのであった.

あとで分かったことだが,この下宿のメンバーは実はいろんなところでつながっていることが判明.例えば偶然東京で同じ先生に韓国語を習っていた(学校は違うけど)人がいたり,友達の友達がいたり.どっちにしろ,この下宿を選ぶ運命にあったらしい.


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